【課外学習レポート】デトロイト美術館展に行ってきました! 〜到着編〜
残暑残る8月某日、デトロイト美術館展に行ってきました。
こちらの記事の続きです
ところで、“デトロイト美術館”って何なんでしょう。
ということで調べました。
デトロイトとは、アメリカの真ん中から右上辺りにあるミシガン州の都市名のこと。
デトロイトは自動車産業や建築・芸術が盛んな都市です。
中でもデトロイト美術館は代表的な「街の顔」的存在。
開館は1885年と歴史ある美術館で、ゴッホやマティスの絵を初めて購入したのもこの美術館だとか。作品数は65,000点もあり、アメリカ屈指の美術館だそうです。1日で見れますかね。
3年くらい前に大規模な財政破綻が起こり、この美術館も存続の危機に陥りましたが、世界中の人から支援され、一点の作品も売ることなく乗り越えたそうです。かなり愛されている美術館なんですね。
有名な画家の作品をたくさん取り扱っています。
モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、マティス、ピカソなど。
画家にそんなに詳しくないのですが、美術の教科書で見たことあるレベルの人たちばかりなのでわかりました。なんて豪華な美術館なんだ。
入るとすぐに壁画のレプリカが吊るされていました。10mはありそうです。迫力満点でした。
ディエゴ・リベラという方が描いた『デトロイトの産業』という絵だそうです。
デトロイトらしく自動車工場の様子がメインに描かれていました。1933年ごろに描かれたので、下の方には大人数の人々が製造ラインに並んでいる様子が描かれていました。機械化された今とは全然違いますね。
こうして撮ってみると、「デトロイト美術館展」というタイトルの背景にもってこいの絵画です。
デトロイト美術館展では、展示が大きく4つの種類に分類されています。
- 印象派
- ポスト印象派
- 20世紀のドイツ絵画
- 20世紀のフランス絵画
各章から1つ個人的に気に入った作品を取り上げてご紹介します!
※各説明に誤解釈があるかもしれません。ご参考まででお読み下さい。
印象派
印象派とは1870年代にフランスで起きた絵画の流れです。
近代生活の一部分を切り取り、モチーフを取り巻く空気や光の移ろいを捉えようとしていました。
印象派の中で目を引いたのはこちら。
1870年 カロリュス=デュラン 『喜び楽しむ人々』
油彩で描かれた人々が今にも動き出しそうな写実的な絵です。
他の作品も今にも動き出しそうな絵が多かったのですが、
特にこの作品が幅が1m程度あったのもあって、印象に残りました。
この絵の中で光の使い方が巧妙だなあと思いました。
特に右端の女性の瞳の光。これがあるとないとでは随分と感じ方が変わってくると思います。
ポスト印象派
ポスト印象派とはセザンヌ、ゴーキャン、ゴッホなど印象派の次世代の作家たちを指すようです。
チケットやポスターで使用されているゴッホの自画像などもポスト印象派ですが、中でも独特の雰囲気を醸し出していたこちらの作品が気になりました。
1910〜12年頃 オディロン・ルドン 『心に浮かぶ蝶』
パッと見たとき、綺麗な朱色だな、と思ったのですが、どこか禍々しい感じもするなと思いました。
解説によると描かれている蝶は現実のものではなく、心の中の蝶を現したものだそうです。
蝶はギリシャ語で「精神」を意味し、
キリスト教的な価値観では「生命」、「死」、「復活」を象徴し、
20世紀初めには「魂」を暗示、時折「死後肉体を離れた魂」を擬人化をしたものと言われたそうです。
朱色は「夕焼け」のようであり、また「炎」を連想させる色です。
この蝶は黄昏の温かく、また物悲しい夕暮れに舞っているのか、
はたまた地獄の業火を漂っているのか、人により捉え方が変わってくる非常に深い作品だと魅入りました。
20世紀のドイツ絵画
20世紀のドイツは第一次・第二次世界大戦及びナチス問題など言わずもがな時代の大きな転換期を迎えました。
そんな激動の時代に描かれたのは写実的な印象派に対をなす「表現主義」です。中でもドイツ表現主義は人間の内面の『傾向』や『気分』などを描いていましたが、ナチス・ドイツにより「退廃芸術」と弾劾されました。
1919年 エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー 『月下の冬景色』
不眠症に悩まされながら作者がアトリエから見えた風景を描いた作品です。朝焼けの風景がエッジのしっかりとした筆使いで描かれています。
木々は朝焼けに照らされたからといってここまで赤々とすることはないと思うのですが(冬景色なので紅葉とも違うようですし)、これは作者の心の不安が特に出ているのではないかと感じました。作者はかなり精神を病んでいたようで、徴兵も精神を病んでいる理由で帰還され、晩年はナチスにより「退廃芸術」と評されたことで多大なショックを受け、自殺を図ってしまったようです。
20世紀のフランス絵画
この時代の西欧芸術は大きな変貌の時期にあり、モダニズム(伝統的な枠組にとらわれない表現)を筆頭に、古典的な規範を根本から覆す新しい芸術運動が生まれました。
フォーヴィスム(鮮烈な色彩表現と力強いタッチ)、キュビスム(いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収める)などが挙げられます。
ピカソの『肘掛け椅子の女性』なども最低限の描き込みでリアルに見せていて素晴らしかったのですが、SNS掲載禁止作品でした…。
1916年 フアン・グリス 『静物』
一目見たとき、紙を切り貼り(「パピエ・コレ」と言うそうです)しているのかと思いましたが、よく見ると油彩で描かれていました。
作者はキュビスムの代表的な人物で、中央には新聞(LE JOUERNAL)の一部、その周りにはワインの瓶やグラスのシルエットが描かれているようですが、ここまでは解説を読まないとわかりません…。
ですがぱっと見たとき、多く伝わりすぎないから逆に気になったというか、これは何を意味しているのだろう、と好奇心をそそる作品だと感じました。
全52作品。大満足で見終わりました。
出口近くに他の展示会のチラシが配布されていたので、また次回の課外学習へ向けてたくさんいただきます。
今回の課外学習で、こういった展示会に足を運ぶことの大切さや面白さを学びました。学生の頃とはまた違った視点で見れるので、私生活でもどんどん行きたくなりました!
(この課外学習後、プライベートで歴史館に行ったり、次の課外学習の情報集めを好きで始めてしまいました)
次の課外学習の提案で浄閑師匠の机が埋まっています。(このあともどんどん机に提案が増えていきました)
次回が早くも楽しみです!
長々となってしまいましたが、最後までお読み下さりありがとうございました!