ふぉんとのはなし
「フォントの話をするぞ」と聞くと、デザイナーという職業柄なのか、少し身構えてしまったり、なかなかどうして小難しい印象になってしまいます。
なので今回は少し緩い話、気軽に楽しめる(?)書籍やサイトを3つ紹介したいと思います。
まずはベタなところから。
「フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか」
http://www.junkudo.co.jp/mj/products/detail.php?isbn=9784568504286
武蔵野美術大学→写植文字デザイン→ロンドンでカリグラフィを学ぶ→世界的な書体コンテストで2回もグランプリ→ライノタイプ社のタイプディレクターとしてドイツ在住
といった絵に描いたようなフォントの出生街道を走る著者ですが、堅苦しい解説はなく、わかりやすく解説してくれています。街で見かける看板、雑誌の見出し、航空会社のロゴなど、普段の生活で目にするフォントにもこんな意味付けや変遷があったのかと納得させられます。フォントが好きな人も、そうでない人も誰もが「へーなるほどなぁ」と感心する本だと思います。
感心したからと言って、飲み屋で女性に「ルイヴィトンのフォントってなぜFuturaなのかわかる?」などと講釈を垂れてはいけません。
初心者おすすめ度 ★★★★★
次に少しマニアックな書籍を紹介したいと思います。
「書体の研究」http://yuzuya.style.coocan.jp/blog/
こちらは何がマニアックなのかというと、アニメやライトノベルのタイトルを解析し、何のフォントが使われているかを検証する本です。基本的には同人誌なのですが、デジタル版はAmazonでも手に入るみたいです。冒頭ではきちんとフォントの仕組みや成り立ちなどを紹介してくれます。ただし、フォントの本なのに誤植も多いわ、レイアウトがわかりにくいなど書籍としてはあまりよろしくない評価を受けています。
とはいえ、この本のメインである、「フォント検証」の内容は良いものだと思います。オリジナルで1から作ってると思っていたロゴがフォントの組み合わせだったり、タイトルの魅せ方がフォントでこれほど変わるのかと感心させられます。ただし、先に挙げたようにそもそもの題材がアニメやライトノベルなため、多くの人を対象にしていないところが残念でもあり、絞っているのがサブカルっぽくもあって良い。良いのか悪いのかわからない。
映画やテレビ、ファッションなどのジャンルも検証してくれるともっと嬉しくなって、私の薄い財布の紐ももっとゆるゆるになるかと思います。
初心者おすすめ度 ★★★
最後にここは是非とも参加してみたい。
「大阪DTPの勉強部屋」http://www.osakadtp.com/
こちらは書籍ではなくWebサイト。Webとはいえ、元々は勉強会、セミナーを主催することをメインとしているので、ここにそれほどの情報は書いていません…と思いきや、過去の各勉強会の資料やスライドなどは閲覧できるので、見てみると「Illustrator→InDesignの乗り換え案内」「写植の歴史」「文字詰め、文字送りからDTPスクリプトまで」「UDフォントの意義・価値」「Mac OSXにおけるエンコードエラー」などフォントだけでなくDTPやその他にまつわる話がこれでもかと載っています。
とはいえ私、まだこちらの勉強会を体験したことがないため、今年度中に参加したいと思っております。「勉強会」という言葉にある種の拒絶反応、若き日のフラッシュバックを起こしかけておりますが、かなり濃いーお話が聞けるのではないかとワクワクもしている次第です。
初心者おすすめ度 ★
とまあざっくりと挙げてみましたが、いかがでしたでしょうか?次回の「ふぉんとのはなし」では私の大好きな欧文フォントを掘り下げてお話できればと思います。